![]() |
|
![]() |
![]() ![]() セクシャル・ハラスメントの理解のために 1.セクシャル・ハラスメントとはどのような問題か セクシャル・ハラスメントを防止するためには、まず第一に、この問題の正しい理解が必要です。 その理解のために、セクシャル・ハラスメントを次のように整理しました。 (1)セクシャル・ハラスメントとは 相手方の意に反する性的な言動で、それに対する対応によって仕事を遂行するうえで、 一定の不利益を与えたり、就業環境を悪化させること 男女雇用均等法第21条(平成11年4月1日施行)では、 「職場において行われる性的な言動に対するその雇用する女性労働者の対応により当該女性労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該女性労働者の就業環境が害されること」としています。 2.セクシャル・ハラスメントの分類 セクシャル・ハラスメント問題の先進国ともいえるアメリカでは、裁判例の集積や 学者による研究の結果、便宜上、セクシャル・ハラスメントのタイプを「対価型」 と「環境型」の2つに分けて説明しています。 1.対価型 何らかの雇用上の利益の代償あるいは対価として性的要求が行われるもの 〈典型的な例〉 性的な誘いかけをして、 「言うことを聞けば、給料を高くしよう(昇進させてあげよう)」 「言うことを聞かないなら、やめてもらう(いやでも配置替えする)」 2.環境型 はっきりとした経済的な不利益は伴わないが、職務の円滑な遂行を妨げるなど、性的言動により、相手の就業環境を悪化させること 〈典型的な例〉 性的な噂を流す、いやらしい冗談を言うなど言葉による性的ないやがらせ ヌード写真を掲示するなど不快な職場環境をつくるもの 地位利用型 雇用上の対価等は示されていないものの、相手に雇用条件や職務遂行への 影響を予想させる職務上の地位・立場を利用して性的要求が行われるもの 〈典型的な例〉 (業務上の指示を行う)上司の地位を利用して性的誘いかけをする (取引に影響があるような)得意先という立場を利用して性的強要を行う 2.セクシャル・ハラスメントの構成要素と判断基準 1.性的な言動とは 1.性的言動の形態 セクシャル・ハラスメントは、言葉によるものや、写真をみせる、身体に触る さらには性暴力に及ぶものまで、その行為の形態には様々なものがあります。 例としては次のようなものがあります。 *発言(性的な冗談・からかい、食事・デートへの執拗な誘い、意図的に性的な噂を流す、個人的な性的体験等をたずねる、性的な経験談を聞かせる等) *視覚(ヌードポスター・わいせつ図画の配布・掲示等) *行動(胸や腰などじっと見る、身体への不必要な接触、性的関係の強要、強制わいせつ行為、強姦等) 2.性的言動の対象 セクシャル・ハラスメントは、特定の相手に対して行われるものだけでなく、不特定多数の者を対象として行われることもあります。このことを整理すると次のようになります。 ●直接相手方に向けられたもの(性的な発言、食事・デートへの執拗な誘い、身体への不必要な接触、性的関係の強要等) ●間接的に相手方に向けられたもの(性的な噂を流す等) ●不特定多数の者に向けられたもの(ヌードポスター・わいせつ図面の掲示等) (2)セクシャル・ハラスメントの加害者 セクシャル・ハラスメントの加害者となる者は、次のような者が考えられます。 *事業主 *管理職、上司 *同僚、部下 *取引先、派遣先企業の従業員、顧客 *その他(病院における患者、学校における生徒等) これらの加害者の中でも、取引先や派遣先、顧客によるセクシュアル・ハラスメントは、 契約関係等、その立場を利用しやすいところから顕在化しにくい面があり、問題は深刻なものとなりやすいといえます。 *性的自己決定権 性に関することがらについての決定権を持つものは自己のみであるということ。 性に関する問題は個人的、主観的な性質のものであり、自分以外の誰からも「望まない性」 は強要されてはならないとする内心の自由、身体の自由。 *PTSD(心的外傷後ストレス障害) 生命や身体の危機、家族を失うなどの強い心的外傷(トラウマ)を受け、これを契機に不眠、神経過敏事件の再体験(フラッシュバック)、抑うつ、攻撃的になる、記憶障害等の症状に襲われ、自己をコントロールできなくなる状態。性暴力の被害者にもみられる。 セクシュアル・ハラスメントは密室ないし2人だけの場所で行われることが多いため、事実があったか否かを判断するのは大変困難です。 この場合、他の従業員が同じような行為を受けていたかどうか、被害を主張する従業員が日頃から他の者に相談していたかどうか、あるいはその事実に関する被害者の主張と、それを否定する加害者とされた者のどちらが首尾一貫したものであり、信用性があるかなどが判断材料となるでしょう。被害者の記録(メモ・日記等)なども、両者の主張の信用性を判断するうえでは有効な資料です。
![]()
|
![]() |
日本行政書士会連合会・東京都行政書士会登録 TEL.050-3715-0991 Copyright(C) 2006 行政書士 小野合同法務事務所 All Rights Reserved. 無断転載禁止 存在事実証明 CopyTrust-G638 [サイト所有者] 株式会社おのじむ 代表取締役 小野知己 info@onojimu.co.jp |